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前歯のインプラント

2024年5月28日

今日はインプラント治療でも難易度の高い前歯のインプラントについてご説明します。

前歯のインプラントは難しい?

前歯のインプラント

一般の人からすると奥歯の方がインプラント治療は難しく感じる方もいると思います。

もちろん最遠心(一番後ろ)はお口の開き具合などによっては難しいです。

しかし顎は後ろにいくほど骨の幅が広い傾向があるのでインプラントの位置が決めやすいです。

それに比べて骨が薄い前歯の部分は埋入位置に制限が出ます。

かつ審美領域なのでどこにも打てるわけではありません。

今回はそんな前歯のインプラントを掘り下げたいと思います。

前歯のインプラントが難しい理由

・審美的な要求が高い
・骨の質と量が奥歯に比べて不利
・噛む力がかかる方向
・歯茎のマネージメントが難しい

以上の要点があります。
それぞれ詳しく説明していきます。

審美性

前歯は口の中で最も目立つ部分の一つであり、自然な見た目が求められます。

インプラントが自然な歯と見分けがつかないようにするためには、周囲の歯との色や形を真似る必要があります。

セラミックは技工士の腕の見せ所ですが、術者は手術時になるべく周囲に馴染みやすい位置に埋入します。

そうすることでインプラントの角度や位置による修正を減らします。

また、歯茎の位置をある程度コントロールできるのも手術時になります。
この辺は歯茎のマネージメントに書きます。

インプラントの角度が変わると噛み合わせを変えるのも大変ですがアクセスホールの問題もあります。

アクセスホールとはインプラントと上部構造をつなぐネジ穴のことです。

スクリューリテインとセメントリテインは上部構造とアバットメントの繋ぎ方の違いです。
こちらの違いはよくある質問でご確認ください。

スクリューリテインではベロ側の裏に穴が来ないと目立ちます。

セメントリテインはアクセスホールの角度に余裕がありますが、万能というわけではありません。

また、セメントリテインは歯茎の炎症を起こす原因を生み出しやすい点も審美性に影響します。

骨の量と質

インプラントを埋め込むための骨の量と質が、成功の鍵となります。

前歯の場合、特に上顎の前歯部分は骨の密度が低いことがあり、これがインプラント手術を難しくします。

また、元々の根っこが細いので狭い歯と歯の間に埋入する技術も必要になります。

十分な骨がない場合、骨移植が必要になることもあります。

特に下顎の前歯は骨がペラペラです。

抜歯をする際には既存の骨を減らさないように愛護的に歯を抜きます。

その際に必要であればリッジプリザベーション(ソケットプリザベーション)などの骨補填をします。

そうすることで骨の退縮や歯茎の退縮を防ぎます。

また、感染等を起こしていなければ抜歯と同時に埋入することで退縮を予防することもあります。

埋入時や埋入前に骨造成する場合はGBRと呼ばれる方法が一般的です。

その場合は腫れやすいので、術後のダウンタイムに影響しやすくなります。

噛む力の方向

上の前歯の場合、インプラントの真上に力がかかるというよりも横に力がかかるイメージです。

その為垂直的な力に強いインプラントですが、抜けたり、折れやすくなります。

前歯部の骨の薄いお話を先程しましたが、薄い方向に力が加わりやすいので骨折する恐れもあります。

歯肉のマネージメント

骨などを硬組織というのに対し、歯茎や歯肉を軟組織と言います。

軟組織はとても不安定になりやすく審美面にも強く影響します。

なのでなるべく安定した軟組織を獲得するための処置が必要です。

歯茎が下がった場合は天然歯の場合は歯が長く見えるくらいかもしれません。
しかしインプラントは金属部分が見えてしまうかもしれません。

そうならない為になるべく歯茎が下がらないようにする必要があります。

また少し下がっても違和感が少ないようにアバットメントをジルコニアで作成する方法もあります。

歯茎そのもが薄い場合は口蓋(顎の裏の天井)から移植をしたりします。

この移植も壊死させないように高度な技術が求められます。

結合組織移植術(CTG)が主に行われる移植方法になります。

骨や埋入位置を加味して、歯が長く見えるような場合はピンク色のセラミックなどを使用し違和感なくする方法もあります。

前歯のインプラントを成功させるには

前歯のインプラント治療は単純埋入が難しいので色々オプション的なものがあります。

前項でも話した抜歯前の段階の話や補綴の種類などです。

検査、診断

検査でCTを取るのはもちろんですが、
抜歯と同時に手術をするのか、抜歯してからどのくらい空けるかなどの診断が重要です。

サージカルガイドを作ることで診断に沿って埋入することもできます。

骨造成

抜歯と同時にするリッジプリザベーション、抜歯後歯茎の治癒を待ってするGBRなどがあります。

ソフトティシュー処置

歯肉移植や二次オペでの軟組織の治療です。

とにかく慎重に扱う必要があります。

上部構造

グレードの高い被せ物はジルコニアにセラミックを重ねて色味を自然にします。

以前は中が金属のメタルボンドというセラミックが主流でした。

今は審美面に優れるジルコニアボンドが隣の歯に合わせて自然に見せます。

また、アバットメントもジルコニアを使うことで万が一歯茎が下がっても目立ちにくくする事もできます。

 

これらのオプションは費用がかかる処置ではありますが、前歯は費用を抑えることよりもしっかり治療する方がいいかと思います。

歯茎の移植などは痛みを伴うので敬遠されることもありますが、見た目に大きく影響する部分でもあります。

上部構造は後からやり直しがしやすい為、あとで費用をかけることもできます。

まとめ

前歯のインプラントは自然に見せようとするほど難しくなります。

また治療後のケアも大事になるので必ず定期検診を受信しましょう。

また、定期的なレントゲン検査もオススメです。

インプラントは痛みがわかりません。

痛くなってからでは遅いのです。

しっかりメインテナンスしましょう。

 

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