根管治療とは
根管治療とは、虫歯が歯髄(神経)に進行していた場合、根管(歯の根元にある神経や血管が集まった管)内の細菌に侵された神経や血管を取り除いて患部を消毒し、薬を詰めて再度細菌が入らないよう詰め物と被せ物を施す治療です。
根管は細く入り組んでおり、処置が不十分だと根管内に病巣が広がっていき虫歯が再発・治療を繰り返すことにより歯質が脆くなって最終的には抜歯をする可能性が高まるため、根管治療には十分な技術が必要となります。
日本の根管治療の現状
根管治療は難易度が高く、日本で保険による根管治療を行なった場合の成功率(処置後も虫歯が再発しない確率)は、全体的には20~40%程度です。
また、根管治療は何度も行うと成功率が低下していきます。
細菌は時間が経つとだんだん感染力が強くなる上、治療によって神経や血管をとった後の歯には酸素や栄養素等が届かないため通常の歯と比べて非常に脆くなってしまうためです。
さらに再治療をするごとに根管を削るため、より一層患部の状態が悪くなっていきます。
当院の根管治療の特徴
マイクロスコープによる精密治療
当院の根管治療では「マイクロスコープ」を使用しています。
肉眼では確認することが困難な根管内の細かい形状を高倍率でチェックできる他、暗い患部もライトによってしっかり確認できます。
マイクロスコープを使うことで患部の取り残しを限りなく少なくし、虫歯の再発リスクを低減させることができます。
CTを使用した患部の三次元的情報の把握
保険での根管治療では患部の検査・撮影にレントゲンを使用しますが、根管は非常に複雑な構造となっておりレントゲン撮影による二次元的な情報だけでは読み取れないことがあります。
当院では患部を三次元でとらえることができる歯科用CTを使用しています。
複雑に入り組んだ根管の形状に加えて、正確な本数や患部の状態も撮影することが可能で、経験や勘に頼ることなく患部の把握・正確な治療計画の立案が可能になります。
ラバーダム防湿による無菌状態の保持
根管治療においては虫歯の原因となっている患部を取り除く他、治療の際患部に菌を侵入させない・感染させないことが非常に重要になってきます。
当院では根管治療時に根管の無菌化のため「ラバーダム防湿」を使用しています。
治療を行なっている歯の周りをゴム製のシートで覆うことにより、根管内に唾液・細菌が侵入することを防ぐことでより効果的に殺菌・再発の防止が可能になります。
十分な治療時間の確保
根管治療には正確な診断・処置が求められますが、保険治療では時間の制約があり治療回数が複数回に及ぶため、その間に仮歯が取れる・虫歯が再発するといったリスクがあります。
当院の根管治療は1回の治療に60分〜90分と十分にをかけて行なうことで、治療回数を最少1回〜4回と少なくすることができるため治療期間が長くなることによる再発リスクを極力低くできます。
治療に適した器具・材料の使用
ニッケルチタンファイル
根管治療にはファイルという針状の治療器具を用いて根管内の病変を取り除いていきます。
当院ではファイルの中でも「ニッケルチタンファイル」と呼ばれる形状記憶合金を用いたファイルを使用しています。弾性に優れていて、複雑な根管内でも柔軟に対応ができるため、取り残しや根管内を傷つけることを防ぐことができます。
MTAセメント
治療後の歯には殺菌効果のある充填材を用いますが、その中でもMTAセメントは強アルカリ性の充填材で多くの細菌に対して効果を発揮します。
それ以外にも
・固まりながら膨張することによる十分な密封性
・生体親和性が高く体に優しい
・根管内に血などの水分があっても使用できる親水性
など、根管治療の充填材として十分な性質を持っています。
Er:YAGレーザー
Er:YAGレーザーには殺菌効果があり、せまい根管内を洗浄しながら殺菌を行うことで根管治療の成功率向上に繋がります。
根管治療における被せ物の重要性
根管治療の後被せ物を製作することで治療が完了しますが、その被せ物がうまくはまらず隙間などがあると、歯が割れたり被せ物の隙間や割れ目から細菌が侵入してしまい根管内の虫歯が再発してしまうことがあります。
そのため、治療後に精密な被せ物を製作・装着することは根管治療においても非常に重要な要素です。
また、被せ物の中でもセラミック製の被せ物は汚れなどが付着しづらく虫歯が再発しにくくなります。
料金表
前歯 | 小臼歯 | 大臼歯 | |
---|---|---|---|
歯髄保存 | 50,000円 (税込55,000円)※ | 50,000円 (税込55,000円)※ | 50,000円 (税込55,000円)※ |
抜髄 | 70,000円 (税込77,000円)※ | 90,000円 (税込99,000円)※ | 100,000円 (税込110,000円)※ |
感染根管治療 | 80,000円 (税込88,000円)※ | 100,000円 (税込110,000円)※ | 120,000円 (税込132,000円)※ |
外科的 根管治療 | 100,000円 (税込110,000円)※ | 120,000円 (税込132,000円)※ | 140,000円 (税込154,000円)※ |
前歯 | |
---|---|
歯髄保存 | 50,000円 (税込55,000円)※ |
抜髄 | 70,000円 (税込77,000円)※ |
感染根管治療 | 80,000円 (税込88,000円)※ |
外科的根管治療 | 100,000円 (税込110,000円)※ |
小臼歯 | |
歯髄保存 | 50,000円 (税込55,000円)※ |
抜髄 | 90,000円 (税込99,000円)※ |
感染根管治療 | 100,000円 (税込110,000円)※ |
外科的根管治療 | 120,000円 (税込132,000円)※ |
大臼歯 | |
歯髄保存 | 50,000円 (税込55,000円)※ |
抜髄 | 100,000円 (税込110,000円)※ |
感染根管治療 | 120,000円 (税込132,000円)※ |
外科的根管治療 | 140,000円 (税込154,000円)※ |
※保証金額が100%の場合の税込価格です
保証制度について
5年以内の再発でしたら保証制度があります
治療終了後5年間は保証の対象です。
(根の治療費に対する保証です)
(記載されている保証金額は全て税込です)
処置後に再治療 になった時期 (2024/1/1に治療終了) | 2024/1/1 | 〜2025/1/1 | 〜2026/1/1 | 〜2027/1/1 | 〜2028/1/1 |
---|---|---|---|---|---|
保証金額 | 100% | 80% | 60% | 40% | 20% |
大臼歯の 感染根管治療 の場合 | 132,000円 | 105,600円 | 79,200円 | 52,800円 | 26,400円 |
処置後に再治療になった時期 (2024/1/1に治療終了) | |
---|---|
2024/1/1 | |
保証金額 | 100% |
大臼歯の 感染根管治療 の場合 | 132,000円 |
〜2025/1/1 | |
保証金額 | 80% |
大臼歯の 感染根管治療 の場合 | 105,600円 |
〜2026/1/1 | |
保証金額 | 60% |
大臼歯の 感染根管治療 の場合 | 79,200円 |
〜2027/1/1 | |
保証金額 | 40% |
大臼歯の 感染根管治療 の場合 | 52,800円 |
〜2028/1/1 | |
保証金額 | 20% |
大臼歯の 感染根管治療 の場合 | 26,400円 |
保証期間内にトラブルがあり抜歯になった場合は、抜歯後に行うインプラントの治療費を減額します。
※現金での返金は致しません。
※抜歯後に同部に自費治療を行う場合に限ります。
保証の対象外になるもの
- 事故などの外傷による抜歯
- 術後のメンテナンスを受診されていない方
根の治療費は米国では1本20万円〜50万円です。世界で共通するのは、どの国でも根の治療費が高いことです。
その理由は、根の治療は時間がかかって技術が必要であり、上手い下手がその歯のその後の寿命を決定付け、歯を残すことにそれほどの価値があるからです。
外科的根管治療について
歯根端切除術
根管内の病巣を除去するだけでは完治させることができず、歯根の奥深くまで進行してしまった難症例に対して、当院ではマイクロスコープを使用した歯根端切除術を行っています。
歯根端切除術は患部周囲の歯肉を剥離させ、歯根のさらに奥にある病変を外科手術により除去する方法です。
さらに病変のあった歯の根っこの先端を共に切除し、その先端部から充填を行った上で縫合することで炎症を起こしていた部分の治癒を促します。
歯根端切除術が適用される例
- 歯根先端部の病変が大きく、ファイル等では除去しきれない
- 歯根先端に膿がたまり、歯肉の腫れ・痛みがある
- 根管治療を受けた後も痛みが続いている
- 被せ物を外したくない、または外すのが難しい
外科処置が必要になる症例
通常の根管治療で発見できない
X線写真では写らない病巣や歯のヒビ、通常の根管治療では見つけられない根管などがある場合、歯科用CTで歯根を精密にチェックすることでスムーズに病巣を発見・外科処置を行うことが可能です。
治療器具が届かない
歯の再石灰化(歯が修復される)により、ファイルなどの治療器具が患部まで届かず治療ができない場合があります。
その場合、外科処置で直接歯根の先端を治療します。
患部が治癒しない、または再発する
非常にまれなケースですが、根管治療後も完全に治癒しなかったり、数ヶ月など長い時間が経ってから再発してしまうことがあり、その場合外科処置により隠れた患部を治療することで再発を防ぐことができます