
虫歯放置は、歯だけの問題ではないかもしれません。
高齢の親御さんの口元を見て、奥歯が欠けているような気がした。
でも、本人は痛がっていないし、そのままにしている。
そんな経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、大阪府の高齢者を対象にした研究で、歯の状態と寿命の関係が報告されています。
この記事では、その研究の内容と、虫歯放置が全身の健康に関わる理由をお伝えします。
あわせて、ご家族にできるサポートもご紹介します。
歯の状態と寿命の関係を示した研究
75歳以上の約19万人を調べた研究
大阪公立大学と大阪大学の研究グループは、大阪府内の75歳以上の約19万人を対象にした研究を行いました。
歯科健診の結果と、その後の死亡との関係を調べたものです。
この研究では、健康な歯と治療済みの歯、そして治療していない虫歯の本数がそれぞれ数えられています。
その結果、健康な歯と治療済みの歯の合計が0本の人は、21本以上ある人と比べて死亡のリスクが約1.7倍でした。
この傾向は、男女ともに見られたと報告されています。
さらに、治療していない虫歯があることも、死亡のリスクを高める方向に関係していました。
研究の詳しい内容は、大阪大学の研究紹介ページで公開されています。
歯科健診を受けていない人の研究も
同じ研究グループは、大阪府の75歳以上の約94万人を対象にした研究も発表しています。
そこでは、歯科健診や歯科の受診をしていない人は、受けている人に比べて死亡のリスクが約1.5倍高い傾向が報告されています。
つまり、定期的にお口の状態を確かめることにも、意味があると考えられます。
結果をどう受け止めればいいか
ただし、この研究は、虫歯を放置すると寿命が縮むと直接証明したものではありません。
あくまで、歯の状態と死亡のリスクに関係があることを示したものです。
とはいえ、自分の歯や治療した歯を保つことが、健康な毎日の土台になる可能性を示した結果といえるでしょう。
虫歯放置が全身の健康に関わる理由
お口の細菌と誤嚥性肺炎
まず、考えられる理由のひとつが、誤嚥性肺炎です。
誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液が誤って気管に入り、肺に炎症が起きる病気です。
年齢とともに、飲み込む力は少しずつ弱くなっていきます。
そこに治療していない虫歯があると、お口の中の細菌が増えやすくなります。
その結果、細菌を含んだ唾液が気管に入り、肺炎の原因になることがあるのです。
高齢の方にとって、肺炎は命に関わることもある病気です。
痛みがない虫歯ほど見過ごされやすい
虫歯は、初期のうちは痛みがほとんどありません。
しかし、痛みがないからといって、進んでいないわけではありません。
進行して神経に達すると、強い痛みが出ます。
さらに、その痛みが急に消えることもあります。
しかし、これは治ったのではなく、神経が死んでしまったサインかもしれません。
そのまま放置すると、根の先に膿がたまり、抜歯が必要になることもあります。
高齢の方に多い歯の根元の虫歯
年齢とともに歯ぐきが下がると、歯の根元が見えてきます。
この部分は、歯の表面よりやわらかく、虫歯になりやすい場所です。
しかも、根元の虫歯は痛みが出にくく、気づいたときには広がっていることもあります。
そのため、高齢の方ほど定期的なチェックが大切なのです。
歯を失うことで起きやすい悪循環

食べられるものが減り、栄養が偏る
虫歯放置で歯を失うと、食事にも影響が出ます。
たとえば、肉や魚などタンパク質を含む食品が噛みにくくなります。
すると、栄養が偏り、筋力が落ちやすくなります。
筋力が落ちると、転倒や骨折のリスクも高まります。
会話が減り、外出がおっくうになる

また、歯を失う影響は、体だけにとどまりません。
話しにくくなると、人と会うことや外出がおっくうになることがあります。
その結果、人とのつながりが減り、気持ちが沈みがちになることもあります。
このように、お口の小さな問題が、生活全体に広がっていくことがあるのです。
虫歯を放置してしまう理由
虫歯を放置してしまうのには、いくつかの理由があります。
- 痛みがないので、大丈夫だと思っている
- 以前の治療で痛い思いをした
- 治療費がどのくらいかかるか不安
- 足腰が弱り、通院そのものが大変
どれも、もっともな理由です。
しかし、早い段階で治療すれば、処置が少なく済むことが多いです。
反対に、先延ばしにするほど治療は複雑になり、通院回数も増えがちです。
うえさか歯科・矯正歯科の高齢の方へのサポート

定期検診で早めに見つける
うえさか歯科・矯正歯科では、虫歯や歯周病を早めに見つけるための定期検診を大切にしています。
検診では、虫歯の有無だけでなく、歯ぐきの状態や噛み合わせ、入れ歯の具合なども確認します。
さらに、歯科衛生士によるクリーニングで、ご自宅のケアでは落としきれない汚れを取り除きます。
検診の間隔は、お口の状態によって異なりますが、一般的には3〜6ヶ月に1回が目安です。
お口の乾燥など、年齢による変化にも対応
年齢とともに唾液が減り、お口が乾きやすくなる方も少なくありません。
また、飲んでいるお薬の影響で、唾液が減ることもあります。
唾液が減ると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
そこで、唾液腺のマッサージや保湿剤の使い方など、お一人おひとりに合ったケアをご提案しています。
通院が難しい方には訪問診療も
うえさか歯科・矯正歯科は、バリアフリー設計で、無料駐車場も7台あります。
それでも通院が難しい方には、ご自宅などにうかがう訪問診療も行っています。
今日からできる虫歯予防

毎日の歯みがきのポイント
虫歯予防の基本は、毎日の歯みがきです。
次のポイントを意識してみてください。
- 歯ブラシは1ヶ月を目安に交換する
- 力を入れすぎず、細かく動かして磨く
- フロスや歯間ブラシで歯と歯の間も掃除する
- フッ素入りの歯みがき粉を使う
- 毎回同じ順番で磨き、磨き残しを防ぐ
とくに、歯の根元は年齢とともに虫歯になりやすい場所なので、ていねいに磨きましょう。
食生活で気をつけたいこと
甘いものを少しずつ何度も口にすると、お口の中が酸性に傾く時間が長くなります。
そのため、間食は時間を決めて、食べたあとは水でゆすぐ習慣をつけましょう。
また、よく噛んで食べると唾液が出やすくなり、お口の中を洗い流す働きも高まります。
飲み込む力を保つお口の体操
誤嚥性肺炎を防ぐには、お口を清潔に保つことに加えて、飲み込む力を保つことも大切です。
たとえば、食事の前に、パ、タ、カ、ラとはっきり声に出す体操があります。
ほおをふくらませたりへこませたり、舌を上下左右に動かしたりするのも、お口まわりの筋肉の運動になります。
どれも座ったままできるので、ご家族と一緒に取り入れてみてください。
虫歯放置と高齢者の健康についてよくある質問

Q1. 痛みがない虫歯でも治療は必要ですか?
はい、治療をおすすめします。
むしろ、痛みのない早い段階で治療すれば、簡単な処置で済むことが多いです。
Q2. 高齢になってからでも虫歯予防はできますか?
もちろんです。
毎日のケアと定期検診を続けることで、何歳からでもお口の健康を守ることにつながります。
Q3. 入れ歯になったら虫歯の心配はなくなりますか?
入れ歯そのものは虫歯になりません。
しかし、残っているご自分の歯は、引き続き虫歯になる可能性があります。
また、入れ歯が汚れていると細菌が増え、誤嚥性肺炎の原因になることもあります。
そのため、入れ歯も毎日ていねいに洗いましょう。
Q4. 認知症の親の口腔ケアはどうすればいいですか?
ご本人が歯みがきを嫌がったり、必要性がわかりにくかったりすることもあります。
たとえば、食後に一緒に歯みがきをする習慣をつける方法があります。
また、歯科医院で定期的にケアを受けるのもよいでしょう。
ご家族だけで抱え込まず、お気軽にご相談ください。
Q5. 治療費が心配です
虫歯の治療は、多くの場合、保険診療で受けられます。
自己負担額は、虫歯の進み具合や治療内容、医療費の負担割合によって変わります。
費用が気になる場合は、治療を始める前にご説明しますので、遠慮なくお尋ねください。
Q6. 歯がほとんどなくても、歯科に通う意味はありますか?
はい、あります。
入れ歯が合っているか、歯ぐきやお口の粘膜に異常がないかを確認できるからです。
さらに、噛む力や飲み込む力の衰えに早く気づくことにもつながります。
ご家族ができるサポート
検診への声かけと付き添い
高齢の親御さんがいる場合、ご家族の声かけが大きな力になります。
まずは、定期検診を受けるよう、やさしく声をかけてみてください。
可能であれば一緒に通院すると、ご本人も安心できます。
さらに、歯科医師の説明を一緒に聞くことで、ご家庭でのケアの方法もわかります。
ふだんの様子を見守る
日ごろから、親御さんの食事の様子や口元を気にかけてみましょう。
- 食べるのに時間がかかるようになった
- かたいものを避けるようになった
- 口臭が強くなった
- 食事中によくむせる
こうした変化は、お口に何か問題があるサインかもしれません。
気になる様子があれば、早めに歯科医院にご相談ください。
まとめ:虫歯放置を防いで健康な毎日を
大阪府の研究では、自分の歯や治療した歯が少ない高齢の方ほど、死亡のリスクが高い傾向が示されました。
その背景には、誤嚥性肺炎や栄養の偏り、人とのつながりの減少など、さまざまな要因が考えられます。
だからこそ、毎日のケアと定期検診、そして虫歯を見つけたら早めに治療することが大切です。
ご自身やご家族のお口のことで気になることがあれば、うえさか歯科・矯正歯科にお気軽にご相談ください。
通院が難しい方への訪問診療については、こちらのページでご紹介しています。
噛む力や飲み込む力の衰えについては、こちらの記事もご覧ください。
2021年 うえさか歯科開院
2026年 医療法人友敬会 理事長就任
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